アメリカのCTI(Coaches Training Institute)の創設者は3人います。
ヘンリーとその奥さんカレン、そしてローラです。
そのローラが日本時間の3月1日に亡くなりました。
私はローラに直接会ったことはないのですが、たくさんのメッセージをもらいました。
初めてローラのメッセージを聞いたのは2年前のICF大会のときです。
そのときに既に癌を患っていたローラは"Bigger Game"という分科会のリードをする予定だったのですが、参加することがかなわず、ビデオレターでメッセージを伝えてくれました。
内容はあまりよく覚えていないのですが、とても先を見通して、それを現実にしていく意思を感じました。
"Bigger Game"はローラとCTIのリーダーであるリックが一緒にやってきたプロジェクトです。
"The size and quarity of the game you play designs what you are becoming."
「あなたが取り組んでいるゲームの大きさと質があなたの未来の姿を形づくる。」
こんな考え方をベースになっています。ちょっと硬い訳になっちゃいましたが・・・。
このページをみてください。
人生を大きなゲームに挑んでいくことに例えた遊び心があります。それでいて楽なところにはいさせてくれない、けれども勇気が出るようなワークショップを提供しています。
私はビデオでそのワークショップを見ました。荒れた高校でこのワークショップが開催され、生徒(ギャングやいじめられっこ、優等生などいろいろいる)、先生、校長先生、親などが参加していました。私が心を打たれたのは、校長先生がある生徒に謝ったり、いじめられっこがギャングの子につらい気持ちを吐露したり、みんながそのままの気持ちを同じ目線で話をしていたところです。
ローラはこのほかにも刑務所のなかでCTIの初級コースを提供するプロジェクトを立ち上げたり、企業のなかでのコーチングに力を注いでいたそうです。
去年のICF大会のときにも、ローラは分科会のプレゼンテーターの一人としてエントリーされていましたが、来ることができませんでした。”From Me to We: A conversation challenging indivisualism in coaching”という分科会のタイトルで、個人主義からどうしたら「私たち」という視点に立って協働的に前に進んでいくことが可能なのか。コーチングは何ができるのだろうかというテーマでした。
リックがローラの代わりに話してくれました。
コーチはライアントの何に意識を向けていくのか。
「結果(個人)→人間的成長(個人)→創造性(個人/他者)→貢献(他者/個人)」
こんな意識の違いについて話をしてくれました。
・コーチがクライアントの結果だけにフォーカスする。
・コーチがクライアントの人間的成長を通じて、結果にもフォーカスする。
・コーチがクライアント独自の創造性(表現)を一緒に引き出し、そこからの成長と結果にフォーカスする。
・コーチが、無二のリーダーとして社会に貢献していく存在としてクライアントを見ていくことで、その人にしかないユニークな創造性を通じて成長し、結果として何かが生まれる。
これぐらいの視点の違いがあるわけです。
その後リックに感動したことを伝えに行くと、
「君たちがやっていくんだよ。」
静かで優しく、その眼差しは私の目の奥にある魂を見つめているようでした。
コーアクティブコーチングでは、クライアントさんの本来の姿を見ていくことを大切にしていきます。きっとローラのメッセージが根底にあるんだと思います。
ローラのブログはこちらです。
ローラからうけとったものは、面白いけれど真剣、楽しいけれど結果が伴う、痛いけれどうれしい、そういった矛盾しているようなものがそこにあるということです。そして、それが成立する瞬間はとても人間くさいきれいなものではないということもなんとなく今、感じています。ローラの旅立つ瞬間にも、そして旅立った後にも人間くささを身をもって伝えてくれているように感じます。
本当に偉大なリーダーを失いました。
人間くさい最後の姿が多くの人のBigger Gameに火をつけています。
私もその中のひとりです。
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